感染性小腸炎を契機に発見されたバルサルタン関連薬剤性腸炎の1例

DOI
  • 澁谷 尚希
    東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科
  • 櫻井 俊之
    東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科
  • 佐野 桃子
    東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科
  • 菊池 伊都香
    東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科
  • 岩下 祐子
    東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科
  • 石川 将史
    東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科
  • 宮崎 亮佑
    東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科
  • 西村 尚
    東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科
  • 豊永 貴彦
    東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科
  • 加藤 智弘
    東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科
  • 猿田 雅之
    東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科

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抄録

<p>【症例】79歳男性【主訴】心窩部痛・嘔吐・下痢【起始・経過】シェーグレン症候群疑いで近医通院中。消化器症状なく経過していたが、20XX年Y月Z日心窩部痛、嘔吐・下痢を認めた。翌日当院を受診し、胃腸炎の診断で内服加療し下痢は消失したが、心窩部痛と嘔吐が持続し、第11病日に入院した。【既往歴】高血圧、心房細動、糖尿病、慢性腎不全、脳梗塞、脂肪肝、前立腺肥大【内服薬】バルサルタン、アムロジピン、プラバスタチンNa、エドキサバン、セビメリン、メトホルミン、カナグリフロジン、テネリグリプチン【身体所見】腹部平坦・軟、圧痛・反跳痛なし。腫瘤触知せず。蠕動音軽度亢進。【検査所見】WBC 12,000/μl、Alb 2.1g/dl、CRP 29.24mg/dl。便培養・腸液培養でEnterobacter aerogenes検出。【入院後経過】絶食加療で症状は緩徐に改善したが、食思不振と少量の水様便が持続した。第22病日に上部消化管内視鏡検査を施行し、胃に多発する白色顆粒状の頂部を伴う小結節と、十二指腸に強い絨毛萎縮と白苔を伴う地図状潰瘍・びらんを認めた。第37病日に経口小腸内視鏡を行ったところ、十二指腸・上部空腸と広範に強い絨毛萎縮と、びまん性の小結節を認めた。生検では絨毛の萎縮とリンパ球主体の炎症を認めたが、Whipple病に特徴的な所見を認めず、またCeliac病関連の抗体も陰性であった。蛋白漏出シンチで十二指腸~上部小腸の蛋白漏出を認め、バルサルタンによる絨毛萎縮を背景に感染性腸炎を合併した可能性を考え、同剤を休薬して経過観察したところ、退院後初回の外来でAlb 3.7g/dlと著明な改善が認められた。【結論】感染性腸炎を契機に偶発的に発見されたバルサルタン起因性の薬剤性腸炎と考えられ、文献的考察を踏まえて報告する。</p>

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