ニンテダニブの関与が疑われた多発小腸潰瘍の1例

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抄録

<p>【症例】81歳,男性【主訴】食欲低下【家族歴】特記事項なし【既往歴】特記事項なし【生活歴】飲酒歴:常酒家,喫煙歴:20本×17年(37歳より禁煙)【入院時身体所見】体温:37.1度,血圧:119/65mmHg,脈拍数:108回/分,SpO2:93%(室内気),腹壁:軟,自発痛,圧痛,反跳痛なし【現病歴】20XX年3月上旬に当院呼吸器内科で特発性間質性肺炎(以下IPF)と診断し,ニンテダニブ300mg/日を開始した。3月下旬より食欲低下・下痢を認め,血液検査で炎症反応が上昇していたため,ニンテダニブを中止し抗生剤を開始した。4月下旬には血便も出現したため大腸内視鏡検査を施行したところ,回腸末端に筋層の露出を伴う潰瘍を散見した。同部位の病理組所見では炎症性肉芽組織を認めるのみで,C7HRP,T-スポットも陰性であった。以上より病歴からニンテダニブによる薬剤性潰瘍の可能性を考えた。絶食にて症状は改善し,小腸カプセル内視鏡検査で回腸多発潰瘍の瘢痕化を確認した。【考察】IPFは慢性進行性の経過をたどり,不可逆性の蜂巣肺形成をきたす予後不良の難治性疾患である。ニンテダニブはIPFに対する抗線維化薬として肺活量低下を抑制し,急性増悪を減少させる可能性がある。ニンテダニブの主な副作用として肝障害・下痢・嘔気・嘔吐があり,消化管穿孔の報告もあるが,内視鏡所見を含めた報告例はない。今回我々はニンテダニブの関与が疑われた回腸多発潰瘍を内視鏡的に確認し得た1例を経験したので,文献的考察を加え報告する。</p>

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