まいたけ抽出物による終末糖化産物形成阻害作用

DOI
  • 松井 孝憲
    久留米大学医学部糖尿病性血管合併症病態・治療学

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タイトル別名
  • Inhibition of formation of advanced glycation end products by Maitake extracts

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生体内蛋白質は,一様に糖化変性,修飾を受け,立体構造が変化し機能が劣化する。加齢のみならず,糖尿病やメタボリック症候群などの代謝性疾患では,この反応が加速し,老化蛋白質である終末糖化産物(advanced glycation end products,以下AGEs)の形成,蓄積が亢進する。これまでの多くの研究により,AGEsの形成,蓄積が多岐にわたる老年病の発症,進展過程に深く関わることが明らかにされてきた。一方,まいたけの抽出物に血糖降下作用や抗肥満作用があることが動物実験で示されてきている。しかしながら,まいたけの抽出物の抗糖化活性についてはこれまで検討が行われていない。本研究では,まいたけの水溶性抽出物のAGEs形成抑制作用を抗糖化作用が報告されているカルノシン,アンセリンと比較した。カルノシンとアンセリンは用量依存的にAGEsの形成を抑制したが,まいたけの水溶性抽出物は10%の濃度でのみAGEsの形成を有意に2/3程度にまで抑えた。カルノシン,アンセリンのAGEs形成50%阻害濃度は,それぞれ4.2mM,2.8mMであった。以上のことから,10%のまいたけの水溶性抽出物には薬理学的濃度のカルノシン,アンセリンに匹敵するAGEs形成抑制効果が期待される。

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