都市部に生息するハクビシン(<i>Paguma larvata</i>)の行動圏と移動阻害要因

  • 福島 良樹
    岩手大学大学院連合農学研究科
  • 原科 幸爾
    岩手大学農学部 岩手大学次世代アグリイノベーション研究センター
  • 西 千秋
    合同会社岩手野生動物研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Home range and movement-inhibiting factors of masked palm civet <i>(Paguma larvata</i>) in urban areas: A case study in urban areas of Morioka city, Iwate prefecture
  • 都市部に生息するハクビシン(Paguma larvata)の行動圏と移動阻害要因 : 岩手県盛岡市の市街地を対象として
  • トシブ ニ セイソク スル ハクビシン(Paguma larvata)ノ コウドウケン ト イドウ ソガイ ヨウイン : イワテケン モリオカシ ノ シガイチ オ タイショウ ト シテ
  • ―岩手県盛岡市の市街地を対象として―

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抄録

<p>岩手県盛岡市の市街地2ヶ所においてGPS首輪を用いてハクビシン(Paguma larvata)5頭を対象とした追跡調査を実施し,行動圏と移動阻害要因に着目して都市部におけるハクビシンの生態を解明した.追跡個体はほぼ完全な夜行性であり,日中はねぐらに入っていた.追跡個体の行動圏面積は63.6~298.4 ha(100%MCP)で,農村部で実施された既往研究と同程度であり,2ヶ所の調査地のいずれにおいても各個体の行動圏は広い範囲で重複していた.また,道路と河川および線路が追跡個体の移動を阻害するバリアーとして機能していたが,道路は幅員が広く,車両の制限速度が高く,路面上が明るい場合のみバリアーとして機能していた.GPSデータが記録された場所の用途地域に着目したモンテカルロシミュレーションにより,追跡個体は商業地域を忌避していたことが判明した.追跡個体が商業地域を忌避していた明確な理由は不明であるが,ハクビシンの行動に影響を与える環境の違いを表現する1つの指標として用途地域を使用できる可能性が示唆された.</p>

収録刊行物

  • 哺乳類科学

    哺乳類科学 63 (1), 29-42, 2023

    日本哺乳類学会

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