安政五年ドナティ彗星観測にみる 土御門家の天文観測技術に関する一考察
書誌事項
- タイトル別名
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- Observation of Donati comet in Japan on 1858
- Evaluation of the technical arts of astronomical observations at Tsuchimikado (Kyoto), Tenmongata (Edo) and Hazama (Osaka)
- 江戸幕府天文方・間重遠の観測との比較から
説明
安政五(1858)年に出現したドナティ彗星は、我が国では京都土御門家、江戸幕府天文方および大坂間家 において観測され、その観測記録が残されている。これらの史料は、いずれも西洋天文学に基づく観測記 録であり、高度・方位が数値として記されている。管見の限りでは、19世紀前半の彗星観測記録において、 京都土御門家・江戸幕府天文方・大坂間家の記録がそろっている事例はドナティ彗星のみである。これらの 観測記録から、彗星の日々の赤経・赤緯値を導出して、観測精度の相互比較を行った結果、(1)西欧の近代 的な観測精度に比して我が国観測所の観測精度は一段落ちるものの、(2)彗星の軌道を赤道座標値で±2度 の精度ではあるが、軌道の全貌を概ね把握できていたこと、(3)3観測所の中では土御門観測が一番優れて いたこと、(4)天文方、間の観測は期間が短く断定は難しいが、観測値にオフセットがあることが分った。 また、三観測所での測量の比較から、測量の基本的な考え方は相互に共通しており、時刻測定の方法 も共通の機器が使われているので、天体位置測量の精度の違いは、儀器の設置精度および堅牢性、眼視観 測者の熟練度によるところが大きいという結論を得た。
収録刊行物
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- Stars and Galaxies
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Stars and Galaxies 5 (0), 7-, 2022
兵庫県立大学自然・環境科学研究所天文科学センター
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390858010059497728
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- ISSN
- 2434270X
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可