アムール川下流域における新石器文化の年代研究

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  • Dating of the Neolithic Culture in the Lower Amur River Basin
  • アムール カワシモ リュウイキ ニ オケル シン セッキ ブンカ ノ ネンダイ ケンキュウ

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抄録

本稿では、アムール川下流域における近年の日露共同研究で報告された筆者らによる放射性炭素年代値を概観し、新石器時代における文化編年の年代区分を提示する。当該地域の文化変遷は、①開始期 (初期、移行期) (オシポフカ文化) : 約 15,500~11,000 cal BP (約 13,000~9600 BP) 、②前期 (ヤミフタ文化等) : 約 11,000~8800 cal BP (約 9600~8000 BP) 、③中期前半 (コンドン文化) : 約 8800~6500 cal BP (約 8000~5400 BP) 、④中期後半 (リシェボ文化) : 約 6500~5500 cal BP (約 5400~4800BP) ⑤後期 (ボズネセノフカ文化) : 約 5500~3600cal BP (約 4800~3400 BP) に区分できる。この文化変遷の切れ目・併行関係は、日本列島における縄文時代の年代区分と比較すると、縄文時代後期の途中までは比較的整合している。その背景には、両地域が環日本海特有の気候下にあるため、類似した適応戦略をとった可能性が考えられる。北海道とサハリンの間には、縄文時代早期の石刃鏃文化の時期に文化的な関連がみられる。この現象は、急激・短期的な寒冷現象である「8.2ka イベント」に起因するものであるが、アムール川下流域では、中期前半のコンドン文化期古段階、もしくはヤミフタ文化からの移行期に相当する。同段階では、近年、クニャゼボルコンスコエ1遺跡、ビジャン4遺跡等での調査成果が報告されており、議論が進展している。本稿で設定した年代区分は確定的なものではないが、今後この年代設定が、広域文化編年や環境変遷の年代検討に寄与することを期待したい。

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