労災補償の行政審査と司法審査

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書誌事項

タイトル別名
  • Administrative review and judicial review of Workmen's Compensation
  • ―practical observation of medical criteria and legal criteria of occupational disease―
  • ―職業病の医学基準と法学基準の実務的観察―

抄録

医療関連紛争事項をめぐっては、実定法上、行政審査(因果律につき医学基準が主流)、司法審査(因果律の基準がカオス=混とん状態)、民事裁判(因果律の法学基準が圧倒)が用意されている(ただし、医療過誤と薬害の救済は民事裁判のみ。ADRは除く)。それら紛争解決システムにはそれぞれの制度的存在理由とそれぞれの実務的安定志向があり、「原因と結果」(因果律)についての一律的な判断規範の設定には困難が伴う。例えば、行政審査の裁量問題も法定公害(都道府県知事の処分)と労働災害(国の労働基準監督署長の処分。審査官の審査制度―審査会の再審査制度あり)では差異があっても不思議ではなく、それはいかなる理由からくるか考察の対象となる。 しかし、因果律の肯認・否認に当たり、少なくとも労災補償制度上、司法審査(裁判所)は、行政審査の行った医学基準による決定(行政処分)に対する違法判断(裁量権の逸脱)を審査すべきであり、そこにおいて安易に民事裁判上に現在通用している枠組み(因果関係の濃淡と帰責性の濃淡の混合による相当な「賠償額」の確定)を労災「補償額」(定率給付)の決定に流用するような手法は取るべきではない

収録刊行物

  • 産業保健法学会誌

    産業保健法学会誌 1 (1), 30-36, 2022-07-10

    一般社団法人 日本産業保健法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390858143389569920
  • DOI
    10.57523/jaohl.1.1_30
  • ISSN
    27582574
    27582566
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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