最大数の臓器提供をするための患者管理

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抄録

<p>臓器提供の意思決定の際には家族の思いが定まるまでに時間を要することが多い。救命のための治療を継続するか、臓器提供を目的とした臓器保護を優先するか迷いながら管理することも少なくない。岡山大学病院では、2017年から2022年までの5年間で、3例の小児ドナーを含む16例の脳死下臓器提供を行ってきた。患者が脳死に陥ると、全身状態は不安定となり、適切に管理されなければ摘出の前に臓器移植が不可能となる場合もある。基本的なコンセプトは「臓器提供ハンドブック」に書かれており割愛するが、輸液を十分に行っても低血圧が持続する場合には、カテコラミンを減量しながら抗利尿ホルモンの持続投与を検討し、同時に副腎皮質ステロイド、インスリンを使用することが肝要である。</p><p>今回提示する我々が経験したドナー数症例は、早期から神経学的予後が期待できず、多くの施設では全力の治療が行わないこともあるであろう。しかし、決してあきらめない全力の救命は、患者(家族)の思いを叶えるために不可欠である。救命治療を行う救命救急医が、引き続き臓器提供のための患者管理を行うのは、身体的にも精神的にも負担が大きい。しかし当院では、患者・家族ケアを含めすべて高度救命救急センター内多職種チームで行い、院内の脳神経外科など他の部署でドナー候補が出た場合も、我々の高度救命救急センターで管理を行っている。我々のドナー管理の実際をご紹介したい。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s186_2-s186_2, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390858153778394496
  • DOI
    10.11386/jst.57.supplement_s186_2
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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