マージナルドナーをどう評価するか:当院の経験より

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<p>はじめに:日本の脳死肺移植平均待機期間は900日と長期に及ぶ。当院は体外灌流システム(Ex Vivo Lung Perfusion)を有さず、同システム無しで移植に適するドナー肺を見極める必要がある。</p><p>当院の経験:胸部X線異常や重喫煙歴を有するいわゆるマージナルドナーを慎重に検討し可能な限り受諾しているが、全国平均に比し劣らない生存率を示している。2015年1月から2021年12月末までに82例の脳死肺移植を施行したうち、ドナーのBrinkman index が1000を超える症例が7例あった。重喫煙歴を有するドナー肺の移植後は、痰が多く頻回な気管支鏡吸痰を要する傾向があり周術期管理に労力を要したが、7例のうち6例で良好な長期生存を得ている。ドナーの受傷機転については、溢頸は一般的に予後不良とされてきたが、当院の82例の脳死肺移植中10例が溢頸ドナーからの移植であり、周術期や長期予後に他と差を認めなかった。一方、胸部X線異常を認めるドナーの場合、ドナーの原疾患、経時的なX線変化、体液バランスの推移、血液検査炎症反応の推移等から、X線異常の原因(神経原性肺水腫、胸水や受動無気肺、肺炎など)を考え、肺炎であれば改善傾向にあるか否かを検討する。その際ドナー年齢は重要な要素である。</p><p>まとめ:当院のマージナルドナー使用経験を踏まえ、グラフト肺評価について文献的考察を交えて報告する。</p>

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