当院における肝機能障害を合併する小児短腸症候群に対する小腸移植の経験

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Abstract

<p>肝・小腸同時移植を必要とする腸管不全症例に対して肝臓を含めた多臓器移植を実施するにあたり、有効な臓器分配システムが整っておらず未だ解決すべき課題が多いのが現状である。</p><p>当センターでは現在まで、3例の小児腸管不全患者に対して肝・小腸移植を異時性に実施した。1例目は新生児期発症の劇症壊死性腸炎に対する大量腸切除後の短腸症候群で、脳死小腸移植登録時には既に高度の肝障害を呈していた。1歳9か月時に小児脳死ドナーでの単独小腸移植を実施し、術後肝不全症状を呈し、生体肝移植を実施した。2例目は胆道閉鎖症術後の肝不全に対し、9か月時に生体肝移植を実施したが、術中に短腸症候群であることが判明した。術後、肝機能障害が進行し、肝移植後8か月目に脳死小腸移植を実施した。3例目は進行性家族性肝内胆汁鬱滞症に、大量腸切除後の短腸症候群を併発した症例で、脳死小腸移植登録時には既に高度の肝機能障害を呈していた。8歳時に小児脳死ドナーでの単独小腸移植を実施し、術後肝不全症状を呈し、生体肝移植を実施した。1例目は生存中であるが、2例目と3例目はEpstein-Barrウイルス感染症に伴う多臓器不全、原病に起因する膵炎増悪によりそれぞれ死亡した。</p><p> 今回、自験例の経験を踏まえて、肝機能障害を合併する小児短腸症候群に対する小腸移植の現況を提示し、今後どのような治療戦略が必要か、本邦の小腸移植の現状に照らし合わせながら考察する。</p>

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