小児生体肝移植における門脈再建の検討
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説明
<p>【背景】小児肝移植ではレシピエント門脈径が細く,しばしば門脈再建に苦慮する.当科の小児生体肝移植における門脈再建について検討し報告する.</p><p>【対象と方法】2008年~2021年に当施設の小児生体肝移植94例について診療録を基に後方視的に検討した.結果は中央値を示す.</p><p>【結果】94例の移植時年齢1.0歳,体重8.2kg,胆道閉鎖症は54例(57.4%).門脈再建法は,Ⅰ:本幹と直接吻合:23例,Ⅱ:臍静脈まで伸ばして吻合:3例,Ⅲ:間置graft:4例,Ⅳ:前壁graft patch:24例,Ⅴ:branch patch:40例に分けられた.Ⅲ,Ⅳ群で使用したvein graftは1例を除き27例はドナーIMVを使用した.Ⅰ群は年齢8.2歳,体重21.8kgと年長児が多く,Ⅱ群は新生児,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ群は順に年齢:0.7歳;0.8歳;1.0歳,体重:5.6kg;6.4kg;8.3kgと順に低年齢,低体重でいずれもⅠ群と有意差を認めた.レシピエントのnative門脈径はⅠ:10mm,Ⅱ:9mm,Ⅲ,Ⅳ:4mm,Ⅴ:6.0mmとⅢ,Ⅳ,Ⅴのplastyを要した症例は優位に細かった.また,Ⅲ,Ⅳ群ではそれぞれ2例,5例の門脈逆流症例を認めた.Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ群はplasty後レシピエント門脈径は1.75倍,2.5倍,2.14倍となった.グラフト肝とレシピエント門脈の吻合径の差はⅠ:4mm,Ⅱ:1.5mm,Ⅲ:7mm,Ⅳ:3mm,Ⅴ:0mmでⅢ群のみ形成後も有意に差が大きかった.術後門脈合併症はⅠ,Ⅱ群になく,Ⅲ:2例(50%),Ⅳ:7例(29.2%),Ⅴ:3例(7.5%)に認めた.形成法による統計学的有意差は見られなかったが,最終的なレシピエント門脈の吻合径が細いほど合併症が多い傾向にあった.</p><p>【結語】前壁graft patchおよびbranch patchは十分な吻合径が得られていたが,IMVを用いた間置graftは細く,使用するvein graftや形成法を慎重に選択する必要がある.</p>
収録刊行物
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- 移植
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移植 57 (Supplement), s327_3-s327_3, 2022
一般社団法人 日本移植学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390858153778592000
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- ISSN
- 21880034
- 05787947
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可