肝移植レシピエントに対する新型コロナウイルスワクチンのブースト接種の効果

DOI
  • 三田 篤義
    信州大学医学部 外科学教室 消化器・移植・小児外科学分野
  • 清水 明
    信州大学医学部 外科学教室 消化器・移植・小児外科学分野
  • 大野 康成
    信州大学医学部 外科学教室 消化器・移植・小児外科学分野
  • 窪田 晃治
    信州大学医学部 外科学教室 消化器・移植・小児外科学分野
  • 増田 雄一
    信州大学医学部 外科学教室 消化器・移植・小児外科学分野
  • 野竹 剛
    信州大学医学部 外科学教室 消化器・移植・小児外科学分野
  • 吉澤 一貴
    信州大学医学部 外科学教室 消化器・移植・小児外科学分野
  • 黒岩 雄大
    信州大学医学部 外科学教室 消化器・移植・小児外科学分野
  • 中村 健太
    信州大学医学部 外科学教室 消化器・移植・小児外科学分野
  • 本郷 悠太
    信州大学医学部 外科学教室 消化器・移植・小児外科学分野
  • 副島 雄二
    信州大学医学部 外科学教室 消化器・移植・小児外科学分野

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抄録

<p>【目的】</p><p>新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防のためのmRNAワクチン接種に関して、肝移植レシピエントにおけるブースト接種の効果を検証することを目的として本研究を行った。</p><p>【対象と方法】</p><p>新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を行った肝移植後レシピエントn=33を対象とし、接種前後のコロナウイルス抗体価 SARS-CoV-2抗体S-IgGを測定して、健常人n=20の抗体価と比較検討した。</p><p>【結果】</p><p>レシピエントは肝移植時年齢1~65歳、現年齢56.9±17.9歳で、男女比は16:17、ワクチン接種時の免疫抑制剤はカルシニューリン阻害薬n=31(93.9%)、ミコフェノール酸モフェチルn=11(33.3%)、ステロイドn=5(15.2%)、mTOR阻害薬n=3(9.1%)が投与され、単剤投与がn=16(48.5%)、2剤投与がn=14(42.4%)、3剤投与がn=3(9.1%)であった。2回目ワクチン接種の166.6±43.7日後の抗体価は12.6±14.3AU/mLであったが、3回目接種前に抗体陰転化していたn=3も含めた全症例でブースター接種の効果を認め、541.9±85.5AU/mLに有意に上昇していた(p<0.0001)。3回目接種の前後いずれも健常人と比べて同等であった(2回目接種の262.7±10.0日後が15.3±10.4AU/mL, ブースター接種後が574.8±109.8AU/mL)。免疫抑制剤の単剤、2剤、3剤投与におけるブースター接種後の抗体価はそれぞれ699.7±570.8、462.9±572.4、68.8±44.3AU/mLで、有意な差を認めなかった。</p><p>【結語】</p><p>肝移植後レシピエントに対するコロナウイルスワクチンのブースター接種は健常人と同等の効果があり、感染予防に有効と考えられた。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s357_1-s357_1, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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