D-アミノ酸測定を用いた新たな腎機能評価法の確立

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抄録

<p>【背景】腎移植ドナー候補者の腎機能評価においてゴールドスタンダードとされているイヌリンクリアランス(Cin)は測定時に外因性物質の静脈持続点滴を要するため、低侵襲かつ正確に腎機能を測定するバイオマーカーの確立が求められてきた。生体内に微量に存在するD-アミノ酸の機能は長期間解明されていなかったが、新規腎機能マーカーである可能性が近年指摘されている。このうちD-セリンが糸球体濾過量測定に有用であることを以前に報告した。今回我々は他のD-アミノ酸も腎機能評価に有用である可能性を探索した。</p><p>【目的】新規腎機能マーカーとなるD-アミノ酸を同定し、有用性を評価する。</p><p>【対象と方法】Cin検査を受けた腎移植ドナー候補者、腎提供後ドナー、レシピエントを含む248例を対象とした。血液、尿検体中のD-アミノ酸は二次元高速液体クロマトグラフィーシステムにより測定した。Orthogonal Partial Least Squares解析により新規腎機能マーカー候補としたD-アスパラギンについて、血中濃度、動態を用いた腎機能測定とCinの相関を求め、既知の腎機能測定法と比較した。</p><p>【結果】D-アスパラギン動態はCinと相関した。またクレアチニンクリアランス、D-セリン動態との組み合わせによる算出式はR=0.94とCinに対する強い相関を認めた。</p><p>【結語】D-アミノ酸動態の組み合わせによる腎機能評価は低侵襲であり、かつ従来の測定法よりも実測値をよりよく評価し、新しい腎機能評価法として臨床応用しうる可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s373_1-s373_1, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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