腎移植後サイトメガロウイルス腸炎による下痢にて腎機能障害をきたした1例

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抄録

<p>症例は、50歳男性。既往歴は、糖尿病、食道アカラシアであった。X-3年5月、原疾患糖尿病性腎症による慢性腎不全に対して母をドナーとしたABO血液型適合生体腎移植を施行した。サイトメガロウイルスIgGは、ドナー、レシピエントともに陽性であった。導入免疫抑制剤は、CyA、MMF、MP、BAXであり、その後、EVRを追加しMPを中止していた。ドナーの体格は非常に小柄であり、レシピエントの腎機能は血清Cr 値2mg/dl前後を推移していた。X年1月、COVID19肺炎となり入院加療を行い改善したが、食欲不振は持続していた。4月に軽度の下痢を自覚し、5月に入り下痢が急激に増悪し、当院受診時は血清Cr値7.07mg/dlまで増悪していたため、緊急入院となった。下痢による脱水と判断し輸液を施行し、MMF減量して経過をみた。しかし、腎機能はさらに増悪し、一時血清Cr値8.00mg/dl、動脈血ガスでpH 7.010、HCO3- 3.8mmol/lと高度の代謝性アシドーシスとなったため、血液透析を施行した。入院時のCMVアンチゲネミアが11/4まで上昇しており、大腸鏡にて回腸末端~直腸の広範囲に炎症性変化があり、病理検査でCMV陽性細胞を認めた。ガンシクロビル投与を行い、下痢は改善し、腎機能も改善したため、血液透析は2回施行し離脱した。CMVアンチゲネミア 0/0を2回確認し、退院となった。CMV腸炎による下痢で腎機能増悪し一時血液透析施行するも補液、免疫抑制剤減量、ガンシクロビル投与で改善した症例を経験したので報告する。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s400_2-s400_2, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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