<i>ATP2C1</i> 遺伝子に病的変異を同定した Hailey-Hailey 病の孤発例

  • 古森 環
    山口大学大学院医学系研究科皮膚科学講座
  • 下村 裕
    山口大学大学院医学系研究科皮膚科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • A Sporadic Case of Hailey-Hailey Disease with a Pathogenic Mutation in the <i>ATP2C1</i> Gene
  • ATP2C1遺伝子に病的変異を同定したHailey-Hailey病の孤発例
  • ATP2C1 イデンシ ニ ビョウテキ ヘンイ オ ドウテイ シタ Hailey-Haileyビョウ ノ コハツレイ

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説明

<p>26 歳,男性。数年前から鼠径部に紅斑,びらんを認め,近医皮膚科でステロイド外用や抗真菌薬の外用で治療されるも難治であった。皮疹は夏季に増悪を認めていた。家族歴はなかった。皮膚生検では表皮の過角化は軽度で円柱体や顆粒体はみられなかったが,表皮内に棘融解細胞を認め,裂隙を形成していた。蛍光抗体直接法では免疫グロブリンや補体の沈着は認めなかった。臨床所見および病理検査結果から Hailey-Hailey 病を疑い,患者の末梢血 DNA を用いて遺伝子検査を行った結果,患者の ATP2C1 遺伝子のエクソン 24 に 4 塩基の欠失変異がヘテロ接合型で検出された。同変異は我々が調べえた限りでは過去に報告されておらず,新規の遺伝子変異と考えられた。患者の皮膚生検組織から抽出した total RNA を用いた RT-PCR 法で,変異型アレル由来の ATP2C1-mRNA の発現量が著しく低下していたことから,nonsense-mediated decay の機序によって mRNA レベルで大部分が分解されていることが強く示唆された。Hailey-Hailey 病の根本的治療は未だ確立されたものはなく,対症療法が主体となる。遺伝子検査を行うことは更なる病態の解明や遺伝子治療の発展に寄与する可能性があり,重要と考える。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 84 (6), 530-533, 2022-12-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (6)*注記

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