癌関連線維芽細胞の形質改変による抗癌剤効果増強剤の開発

  • 飯田 忠
    名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学 名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍病理学
  • 水谷 泰之
    名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学 名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍病理学
  • 山雄 健太郎
    名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学
  • 石川 卓哉
    名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学
  • 大野 栄三郎
    名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学
  • 藤城 光弘
    東京大学医学系研究科消化器内科
  • 榎本 篤
    名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍病理学
  • 川嶋 啓揮
    名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学

書誌事項

タイトル別名
  • Development of anti-cancer drug effect enhancers by transforming cancer-associated fibroblasts

抄録

<p>膵癌の特徴として間質の線維化とそれに伴う組織硬化がある.組織硬化は間質内圧上昇と血管虚脱を誘導し,その結果抗癌剤の間質浸透と癌細胞への到達を阻害することが知られている.この間質の線維化に中心的な役割を果たすのが癌関連線維芽細胞(CAF)である.このため,これまで様々な方法でCAFをターゲットにする治療が試みられてきたが未だ成功していない.本研究では癌抑制性CAFのマーカーであり機能分子であるMeflinをCAFに発現誘導することで,膵癌における化学療法への感受性を改善させることを明らかにした.さらにスクリーニングにより合成レチノイドであるAM80がCAFにおけるMeflinの発現を効果的に誘導し,ドラッグデリバリーの改善を伴って化学療法に対する感受性を改善させることを明らかにした.筆者らは本結果を受けて切除不能膵癌に対するAM80と従来の抗癌剤の併用効果を検証する医師主導治験を行っている.</p>

収録刊行物

  • 膵臓

    膵臓 38 (1), 37-43, 2023-02-28

    一般社団法人 日本膵臓学会

参考文献 (28)*注記

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