女性教員に集中した「退職勧奨」と男性教員による管理職の占有 : 1980年代までの大分県を事例として

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  • “Encouraging Retirement” Focused on Female Teachers and Occupation of Managerial Position by Male Teachers : A Case of Oita Prefecture up to the 1980s
  • ジョセイ キョウイン ニ シュウチュウ シタ タイショク カンショウ ト ダンセイ キョウイン ニ ヨル カンリショク ノ センユウ 1980ネンダイ マデ ノ オオイタケン ヲ ジレイ ト シテ

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抄録

研究ノート

日本の小中学校における女性管理職比率は、校長職で見ると、2020年現在で小学校21.8%、中学校7.5%と、1990年代から上昇傾向にあるというものの、女性教員比率と比べると未だ低率である。とりわけ、1980年代までは、学校管理職はほぼ男性教員が占有し、戦後民主教育の確立が叫ばれる中で、学校組織は家父長制的構造を引きずる領域であった。しかし、1980年代までの低比率の要因については十分あきらかにされてはおらず、本稿は、女性教員の管理職進出がなぜ阻まれてきたのかを、教育行政の登用姿勢や「退職勧焚」施策に視点をあてるとともに、女性管理職を増やそうとする女性教員たちはどのように抵抗し闘ったのかを検討した。その結果、管理職という地位のホモソーシャルな分配とともに、教育予算削減のための女性教員を主たる対象とした「退職勧奨」、とりわけ教員夫婦における配偶者の昇任に伴う!退職勧奨」が女性教員の管理職進出を妨げていたことが明らかになった。また、これらに対して女性教員は組合婦人部を中心に連帯して、粘り強く闘い、女性教員のシニア段階までの就労継続を可能にした。その闘いは、1990年代以降の女性管理職の本格的上昇の礎を築いた。

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