がん悪液質を発症した進行膵臓がん患者の味覚障害がアナモレリン塩酸塩の投与により改善した1症例

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  • A Case of Taste Disorder in an Advanced Pancreatic Cancer Patient with Cancer Cachexia Improved by Anamorelin Hydrochloride

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抄録

がん悪液質は、体重減少、食欲不振、倦怠感といった患者の quality of life(QOL)を低下させる症状と強く関連し、さらに、抗がん剤への忍容性の低下やがん性疼痛などにも関与しており、予後を悪化させる因子である。また、がん悪質液の進行には、抗がん剤や放射線療法の副作用である味覚障害や口内炎などが関与していることが考えられている。なかでも、味覚障害は、抗がん剤の使用患者の半数以上で生じる副作用であるが、致命的な副作用ではないことや治療成績に直接的な影響を及さないことなどから重要視されておらず、依然、有効な治療・対処法は確立されていない。がん悪液質に対しての有効な治療法は、2021年4月にアナモレリン塩酸塩が承認されるまで存在しなかった。アナモレリンの薬理作用は、グレリン受容体に作用して脳下垂体での成長ホルモン(GH)の放出と視床下部での食欲亢進による筋肉量および体重増加作用と考えられている。一方で、アナモレリン塩酸塩は新薬のため、使用患者数も少なく薬剤に関する情報は添付文書やインタビューフォームに限られる。そこで、今回、がん悪液質を発症した進行膵臓がん患者の味覚障害がアナモレリン塩酸塩の投与により改善し、QOLの向上を認めた症例を経験したため報告する。

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