1~3歳児における正の共感の発達:状況的要因の検討を踏まえた負の共感との比較

書誌事項

タイトル別名
  • Positive Empathy Development in Toddlers: Comparison with Negative Empathy Development and Examination of Situational Variables
  • 1~3サイジ ニ オケル セイ ノ キョウカン ノ ハッタツ : ジョウキョウテキ ヨウイン ノ ケントウ オ フマエタ マケ ノ キョウカン ト ノ ヒカク

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説明

<p>本研究は,他者のポジティブ感情に対する共感である正の共感について,幼児期における感情的・認知的・行動的反応の発達過程を明らかにし,負の共感と比較検討すること,正および負の共感的反応の生起に対する状況的要因の効果を検討することを目的とした。1~3歳の幼児120名を対象として,実験者と母親の演技による共感課題を実施し,反応を観察した。共感課題には,共感対象者がポジティブな感情を示す正の共感課題とネガティブな感情を示す負の共感課題が2種類ずつあり,それぞれ共感対象者の感情が生じた原因が子どもにとって明確な課題と不明確な課題を設定した。その結果,原因が明確な負の共感課題における子ども自身の苦痛や恐怖は年齢と共に減少するのに対し,原因の明確な正の共感課題における子ども自身のポジティブ感情は年齢と共に増加した。一方,正の共感課題において状況を理解しようとする言動は発達による増加が見られにくく,相手を称賛するような反応も観察されにくかった。これらの結果から,正の共感の感情的反応の発達には共感対象者との共通経験が影響する可能性や,認知的・行動的反応の生起には状況への対処の必要性が関わる可能性が議論された。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 32 (1), 1-10, 2021

    一般社団法人 日本発達心理学会

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