アダリムマブ投与中に下顎部に再発した Wells 症候群の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Wells Syndrome Which Relapsed on the Jaw During the Administration of Adalimumab
  • アダリムマブ トウヨ チュウ ニ カガクブ ニ サイハツ シタ Wells ショウコウグン ノ 1レイ

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抄録

<p>患者は 45 歳,女性。17 年前に下顎に熱感・硬結を伴う紅斑が出現し,ステロイド内服で軽快した。その後,ステロイドは漸減・中止され,再燃なく経過していた。9 年前にクローン病を発症したため 8 年前からアダリムマブの投与が開始され,以後継続されていた。今回再び下顎に熱感・硬結を伴う紅斑が出現した。近医皮膚科で細菌感染が疑われ,抗生剤内服・外用で加療されたが,症状が増悪したため当科を紹介され受診した。病理組織では,真皮から皮下脂肪織にかけて好酸球を主体とした稠密な炎症細胞浸潤を認めた。17 年前の病理組織も同様に好酸球を主体とした炎症細胞が浸潤しており,flame figure を認めた。以上より,Wells 症候群(好酸球性蜂窩織炎)と診断した。ステロイドの内服加療を開始し,紅斑・硬結は改善傾向となったが,ステロイド減量中に一度再燃した。その後はステロイドの減量をより緩徐に行い,中止後も再燃なく経過している。Wells 症候群は多彩な臨床像を呈し,典型的には細菌性蜂窩織炎に類似した臨床像を認める。経過は様々であり,頻繁に再発し経過が長期におよぶ症例もある。Wells 症候群の発症機序は明らかではないが,生物学的製剤に関連した症例が過去に海外で報告されている。調べうる限り,本邦において生物学的製剤投与中に発症した Wells 症候群の報告は無く,自験例が最初の報告である。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (1), 25-29, 2023-02-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (18)*注記

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