再臨信仰をめぐる統制と弾圧 : 中田重治からきよめ教会への継承とその展開

書誌事項

タイトル別名
  • Control and Oppression over the Belief in the Second Coming of Christ : Succession from Juji Nakata to Kiyome Church and Development

抄録

中田重治を監督とする東洋宣教会ホーリネス教会は、1933年、きよめ教会と日本聖教会に分裂する。中田が提唱した終末における「イスラエルの回復」「日本民族の使命」に関する主張を原因とするものであり、中田に従ったきよめ教会はその主張に賛同し、自らの信仰として受け入れた。中田の死後もそれを継承し、1942–43年のホーリネス弾圧に直面する。本稿は、中田以後のきよめ教会を捉え、彼らが継承した再臨信仰とその主張を、弾圧との関係において検討する。中田が世界情勢を終末のしるしとして捉え、それらと聖書の預言を直結させていたように、きよめ教会も戦争が進行する状況のなかに預言の実現を見出し、戦争を信仰によって意義づける。きよめ教会において、中田の主張が継承され、時局において展開されたこと、それによって戦争に進む国家体制を支える信仰であったことに注目する。しかし、彼らの再臨信仰のうちに、国体の否定があることを突きつけたのがホーリネス弾圧であり、ホーリネスの再臨信仰は天皇統治の廃止を図るものとされ、聖戦の目的を歪曲するものとされた。弾圧と統制のなかで、彼らの再臨信仰は、国体の否定を回避するものとして展開、あるいは転換しながら、国体に抵触しない信仰へと向かっていく。弾圧は再臨信仰が国体のなかに規定されていく過程であり、天皇制国家に包摂される信仰的世界へと進んだのである。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ