医療英語ESP(English for Specific Purposes)

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  • ─ 学習者の視点からのニーズ・アナリシス

抄録

<p>(緒言)</p><p> 本研究の目的は,保健医療英語科目のように,将来職業として医療現場に立った時に役立つ知識や表現の習得を目的としているESPと,より一般的な英語学修であるGeneral English(GE)それぞれに対しての本学(Group2)の学生のやる気の度合いを調査し,また英語以外の言語に対しての彼らの興味についても調査し学習者のニーズを把握する事をその目的とした.なお,調査では,本学とほぼ学力が等しいが,本学のように卒業後の職業がはっきりと決まっていない他校(Group1)との比較も行った.</p><p>(研究方法)</p><p> 被験者は本学(Group2)からは2017年度後期に研究代表者・分担者のクラスの英語を履修した学生のうち,本研究の主旨に賛同し協力をしてくれた1,2年生の学生79名であり,他校(Group1)からは66名の参加があった(1,2年生).方法としては,英語へ対しての得意さの度合い,好き嫌いの度合いの自己申告の項目の後,質問紙アンケートとして用意された, 英語学修とその内容に関してのやる気の度合いについ て,17項目に対してLikert Scale(1~5)で答えてもらった.なおQ17に関しては,英語以外の言語に関しての興味やその理由を自由記述するセクションを設けた.</p><p>(結果)</p><p> その結果,本学(Group2)で英語学修の目的として一番Meanが高かったのはQ13の「一般的な英語を海外旅行などで役立てる」(3.61)であり,一方一番低かったのはQ4「SNSなどで英語で自ら書き込みを行う事で英語の習得に役立てる」(1.96)であった.これはGroup1も同じ結果となりQ13が一番高いMean(3.95),Q4が一番低いMean(2.21)となった.ESPに関する4項目については,Q12「専門に関する英語の方が一般的な英語より真剣に取り組める」が唯一二つのグループ間でのt検定の結果,Leveneの検定により,Group2の方が優位に平均値が高かった項目であった(t=0.290).それ以外のESPに関する項目,Q10「専門に関する英語学び,将来自分のキャリアに活かす」,Q11「専門に関する英語を学び,将来人のために活かす」,Q16「英語で書かれた専門書や論文を読んでいる・読んでみたい」に関しては平均値自体には二グループ間で差があったが,t検定の結果,有意差は認められなかった.Q17「英語以外の言語も機会があれば学びたい」に関してはGroup1(「関心がとてもある」,「少しある」,合計42.4%),Group2(「関心がとてもある」,「少しある」,合計43.0%)となり,どちらのグループも被験者の4割強が英語以外の言語の学修に対しても興味を示していた.理由としての自由記述部分では,英語以外の言語に対してはGroup1では大学で外国語の科目として提供されている事をその理由として挙げている被験者が多かった.一方Group2では中国語,フランス語が同一で一番多く,次いで韓国語,手話,ドイツ語,スペイン語であった.学生の声としては,フランス語─国境無き医師団に必要だから,日本手話・中国語─身近にあるから,などがその理由として挙げられていた.英語の得意さ,好きさ加減とESP項目の回答に相関は認められなかった.</p><p>(考察)</p><p> この結果から,将来の職業がはっきりと決まっていないGroup1と比較的将来の職種が決まっているGroup2(本校の学生)とで違いがあったのはQ12「専門に関する英語の方が真剣に取り組める」だけであったが同時にQ12を含め,ESPのいずれの項目と英語の得意さや好き嫌いとにも相関が認められなかった事より,ESPに関しては,このリサーチの被験者たちは,英語科目というよりもむしろ専門の科目として捉えている可能性も示唆される.また,多言語に関しての興味は4割強が示したが翻っては過半数の被験者にとっては英語以外の外国語は興味が無いという事でもあったことから,この結果をどうカリキュラムなどへ反映していくのか,議論の必要性が示され,英語学修では,英語そのものの学修以外のsocioculturalな面も扱い多言語社会に対応していく必要性も示唆されたものとなった.</p><p>(倫理規定)</p><p> 本研究は,千葉県立保健医療大学研究等倫理委員会 の承認を得て実施した(承認番号2017-18)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390858553267548800
  • DOI
    10.24624/cpu.10.1_1_110
  • ISSN
    24335533
    18849326
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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