中海における貧酸素水塊による栄養塩溶出と微生物群集構造の関係

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between the microbial community and nutrient elution during the formation of hypoxic water mass in Nakaumi

抄録

<p> 本研究では, 日本海から海水が流入し宍道湖から湖水が流入する汽水湖である中海に着目し,塩分成層による貧酸素水塊が生じる時期において分子生物学的手法による原核生物の群集構造解析を行った。その結果,貧酸素水塊が生じる時期において中海の底泥に生息する微生物は,全域において硫黄循環に関与する微生物群が優占することが明らかとなった。また,硫酸還元菌が優占しており,それらの微生物によって貧酸素水塊が生じる時期では硫化水素が発生していることも示唆された。さらに,溶存酸素 (dissolved oxygen :DO) が低い場所では,底層水においても硫酸還元菌が生息しており,底泥のみならず底層水中においても硫黄循環が起こっていることが示唆された。窒素循環に関与する微生物として,10月において日本海からの海水流入によってDO値が回復したことによりアンモニア酸化アーキアであるNitrosopumilus maritimusの存在割合が増加した。また,亜硝酸酸化細菌であるNitrospira属に属する細菌も検出された。しかし,Nitrospira属の細菌も検出されたが,存在割合が小さかった。これらのことから中海では亜硝酸が蓄積しやすい環境であることが推察された。</p>

収録刊行物

  • 陸水学雑誌

    陸水学雑誌 83 (1), 15-25, 2022-02-25

    日本陸水学会

参考文献 (25)*注記

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