メタルダンスユニットBABYMETALの創造性と大衆性獲得過程に関する社会システム論的分析

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タイトル別名
  • Analyzing how the Japanese metal dance unit BABYMETAL acquired its creativity and popularity from the perspectives of the social systems theory
  • メタル ダンス ユニット BABYMETAL ノ ソウゾウセイ ト タイシュウセイ カクトク カテイ ニカンスル シャカイ システムロンテキ ブンセキ

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抄録

2010年に女性3人のメタルダンスユニットとして結成されたBABYMETALは,日本発の大衆音楽アーティストとして,欧米で歴史上最も成功した存在となった。本稿では,BABYMETALがその創造性と大衆性を獲得していった過程を,社会システム論の観点から分析する。このことによって,社会システムの作動を制御するプログラム,その作動によって更新されていく「意味の図式」といった観点から,BABYMETALが創造性と大衆性を獲得した要因を明らかにすると同時に,大衆文化(メディア文化)において文化産業が果たす創造的役割に関する洞察を得ることが本稿の目的である。BABYMETALが唯一無二と言えるユニークなスタイルを作り上げて海外に進出した過程をプロデューサーのKOBAMAETALの発言をもとに辿ってみると,意図せぬ様々なコミュニケーションの連鎖によってそれらが為されたことがわかる。社会システム論の観点からは,KOBAMAETALという個人は,創作システムと文化産業システムという異なる社会システムが交差する場として概念化できる。創作システムを作動させるプログラムには,唯一無二であり続けることや絶えざる自己変革としての「レジスタンス」あるいは挑戦といったものが組み込まれていた。文化産業システムは経営的なリスクを回避する一方で,常に新しいものを市場にもたらそうとするプログラムによって制御されている。文化産業システムは微細な差異を持った新しい商品を市場に提供し続けることによって自らのプログラムを更新し,新しい「意味の図式」を創り出す。こうした文化産業システムの働きが大衆文化に創造性をもたらす。上記のような創作システムと文化産業システムの複合的な交差によってBABYMETALという創造的なプロジェクトが生み出されたのである。

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