Reconstruction of paleoceanographic changes in the pelagic deep-sea realms of the Panthalassa during the Carnian pluvial episode (Late Triassic)

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  • 後期三畳紀Carnian Pluvial Episodeにおけるパンサラッサ遠洋深海域での古海洋環境変動の復元

Description

<p>後期三畳紀Carnian(約2億5190万年前〜2億130万年前)では,湿潤環境を示す堆積相の時空間分布などを元にして,Carnian pluvial episodeと呼ばれる湿潤化イベントが生じていたことが知られている(Simms and Ruffell, 1989).この期間には,特定の海洋・陸上生物の絶滅・進化を伴い,炭素同位体比の負異常も世界各地から報告されている(e. g., Bernardi et al., 2018).美濃帯においてもCarnian pluvial episode相当層準が認識されており,粘土鉱物に基づく古気候変動の復元(Nakada et al., 2015)や,微化石−同位体層序による年代決定(Tomimatsu et al., 2022)などがなされてきた.美濃帯のCarnian pluvial episode相当層準では,しばしば分厚い粘土層の存在(CS-1)が認識されるなど特徴的な岩相変化を伴うことも従来から知られているが(Sugiyama, 1997),近年では三畳紀/ジュラ紀境界付近の分厚い粘土層(CS-3)については構造変形による層序の欠損が確認され,分厚い粘土層は必ずしも初生的な層準でないことが示唆されている.そこで本研究では,美濃帯のこれまでに検討されていないセクションも含めて調査対象にすることで,Carnian pluvial episodeにおける岩相や海洋環境の変化について詳細な検討を行った.</p><p> 研究対象は愛知県から岐阜県にかけて分布する美濃帯上麻生ユニットである.本研究では未検討である川並セクションなども含めて野外調査を行った.調査では単層ごとに実測柱状図を作成し,チャートと頁岩試料を採取した.主要元素に関しては加圧ペレットを作成し,蛍光X線分析装置を用いて測定を行なった.微量元素に関しては誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて分析を行った.</p><p> 研究の結果,川並セクションなどではCS-1を伴わず,さらに黄色チャートが複数枚挟まった紫色〜赤色層状チャートが整然と続く岩相変化を確認することができた.また化学分析の結果,この層序区間ではセリウムの負異常を複数回にかけて検出することができた.全体的な傾向としては,Carnian前期(Julian)にかけて多くの遷移金属元素において元素存在度が漸減し,Carnian後期(Tuvalian)になると漸増するトレンドが確認された.そのためCarnian pluvial episodeでのパンサラッサ海遠洋深海域では,先行研究で指摘されていたような突発的な貧酸素化に加えて,より長期間の還元的海洋環境も発達していたと解釈することができる.今後は上記イベントに関して本格的な議論を行うため,より詳細で高解像度な層序学的なデータを統合することで,より正確な時間軸と環境変動の復元を行っていく予定である.</p><p></p><p>引用文献</p><p>Bernardi et al., 2018, Nat. Commun., 9, 1499.</p><p>Nakada et al., 2015, Palaeo3, 393, 61–75.</p><p>Simms and Ruffell, 1989, Geology, 17, 265–268.</p><p>Sugiyama, 1997, Bull. Mizunami Fossil Mus., 24, 79–193.</p><p>Tomimatsu et al., 2022, Marine Micropaleon., 171, 102084.</p>

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390858608264115840
  • DOI
    10.14863/geosocabst.2022.0_88
  • ISSN
    21876665
    13483935
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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