四国山地における草原の分布特性
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- 小山 拓志
- 大分大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Distribution characteristics of grasslands in the Shikoku Mountains
説明
<p>森林限界の景観形成史については,これまで気温や風,積雪といった自然環境(現象)でのみ説明され,その対象は日本アルプスや奥羽山脈を主とした高山地域や高緯度地域が主体であった。</p><p> 一方で,九州や四国の山岳地は地理的に低緯度であり,かつ標高2000mを超える山岳が存在しないため,従来の森林限界の研究ではいずれの地域にも気温環境に規定された森林限界は存在しないとされている。ところが,九州・四国を含む西南日本の一部山岳地には,森林限界に酷似した景観が認められる(たとえば,青山ほか2000)。</p><p> この景観の成因や維持機構の最大の要因が気温環境でないとすれば,景観形成にはそれ以外の自然条件に加え,人為的な影響が強く関与しているとみなされる。しかし,当該地域も含めた森林限界に酷似した特異な植生景観においては,自然環境にのみ着目した研究は散見されるものの(たとえば,佐々木2003),自然条件と人為的な影響の双方に着目した研究事例がないため,未だその成因等は解明されていない。</p><p> そこで本研究では,このような特異な植生景観の動態と変遷史を解明するための端緒として,四国山地における草原の分布特性を明らかにし,気温環境との関係性について考察した。</p>
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2023s (0), 269-, 2023
公益社団法人 日本地理学会