ウクライナにおける卒前・卒後歯科医師教育

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  • Education of Dentists in Ukraine

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抄録

<p> 歯科は, ウクライナの医療において最も確立した専門性の高い分野の一つであり, 重要な役割を担っている. ウクライナの歯科医学教育システムは, 欧州や諸外国のカリキュラムに準拠している. 学生は, 高校卒業後に歯学部に入学し, 5年制である. 看護師や歯科技師など, 医療資格を得る教育を受けた入学者は, 4年間で卒業できる. すべての卒業生は, 大学での5年 (または4年) 間の養成課程を修了した後, "歯科医学士" の学位が授与される. この学位は, 修士号と同等である. 歯学部卒業後, 実際に臨床に従事するための資格を得るには, この修士号も取得した上で「総合歯科」研修を修了する必要がある. この資格によって, 一般的な歯科診療への従事が可能となる. さらに専門性の高い複雑な症例の診療に従事するには, 補綴歯科学, 治療歯科学, 小児歯科学, 外科歯科学, 矯正歯科学, 歯周病学, 顎顔面外科学の専門研修を修了する必要がある. しかしながら, ロシアからの大規模侵略がウクライナで始まったとき, すべての質の高い教育システムは一瞬で崩壊してしまった. いくつかの機関は部分的に復旧してきてはいるが, ウクライナの学生や教職員は絶え間ないミサイル攻撃の脅威に曝されながら, 歯学を学び, 教え, 診療している. そのような状況下においても, ウクライナの歯科教育は, 欧州の教育水準を保つべく, 十分な臨床経験と技術の獲得に主眼を置いて提供されている.</p>

収録刊行物

  • 医学教育

    医学教育 53 (6), 512-515, 2022-12-25

    日本医学教育学会

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