当院で分離されたマラセチア属の解析

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タイトル別名
  • Analysis of the genus <i>Malassezia</i> isolated in our hospital
  • トウ イン デ ブンリ サレタ マラセチアゾク ノ カイセキ

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抄録

<p>マラセチアは皮膚に常在する酵母様真菌で,癜風やマラセチア毛包炎,脂漏性皮膚炎,アトピー性皮膚炎などの起炎菌になりうる。しかしながら,脂質要求性であるため従来の培養法では分離が困難であることやマラセチア属の形態および生化学的所見は類似しており,表現形のみで菌種同定は難しく,菌種同定に至らないことが多い。菌種同定法として分子生物学的手法が用いられるが,利用できる施設が限られている。近年では,専用培地により培養することが可能となったが,マラセチアの分離状況に関する報告は少なく詳細は不明である。本研究では,専用培地で培養および分離を行い,分離頻度や分子生物学的手法による菌種同定,材料別の菌種検出状況を解析した。その結果,従来より用いられているオリーブオイル重層培地での培養と比較し,専用培地での培養では分離頻度が約9倍増加した。また,マラセチアが検出された臨床分離保存菌株43株の検体材料の内訳は,耳漏(20/43株),皮膚(10/43株),鼻腔(9/43株),気管内採痰(3/43株),眼脂(1/43株)の順で多かった。検出した全てのマラセチア属は分子生物学的手法を用いることで菌種レベルでの同定が可能であった。専用培地を用いることで菌の分離頻度が改善し,さらに分子生物学的手法を組み合わせることで菌種の同定が可能であった。今後は,培養法の更なる改善や質量分析装置を用いて,より簡便かつ迅速に同定できる方法の確立が必要と考えられる。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 72 (2), 191-196, 2023-04-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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