日本住血吸虫卵を認めた直腸癌の1例

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  • A Case of Rectal Cancer Associated with Japanese Schistosomiasis

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抄録

<p>症例は73歳男性,血便精査に行った下部消化管内視鏡で直腸Ra~Rb前壁に半周性2型病変を認め,生検で腺癌と診断された.居住地がかつての日本住血吸虫流行地域であったが,寄生虫疾患の罹患歴はない.術前検査では日本住血吸虫症罹患を示唆する所見は認めず,直腸癌に対して腹腔鏡補助下腹会陰式直腸切断術を施行した.病理診断で癌周囲の正常部の粘膜下層に日本住血吸虫卵を認めた.術後経過は良好で5年経過後も癌の再発や寄生虫疾患発症を認めなかった.日本住血吸虫症はミヤイリガイを中間宿主とする寄生虫疾患で皮膚炎や消化器症状で発症,重症化すると肝硬変をきたす.ミヤイリガイ撲滅により1978年以降国内での感染は認められていない.しかしそれ以降も大腸癌手術の病理標本に日本住血吸虫卵を認めた症例報告が散見される.本症例も直腸癌の切除標本に日本住血吸虫卵を認めた1例であり,文献的考察を踏まえ報告する.</p>

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参考文献 (15)*注記

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