企業における新規事業提案に対するフューチャー・デザインの効果検証

DOI
  • 細見 知広
    大阪大学大学院工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社デジタルデザイン室
  • 近藤 元貴
    大阪大学大学院工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻
  • 若本 和仁
    大阪大学大学院工学研究科
  • 原 圭史郎
    大阪大学大学院工学研究科
  • 倉敷 哲生
    大阪大学大学院工学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of the Effectiveness of Adopting Future Design on New Business Proposalsfrom the Perspective of Future Generations: A case study of a company
  • ―将来世代の視点による事業提案とその評価―

抄録

<p>企業の存続と持続的な成長において,社会環境の変化に適応した新規事業の創出は重要な課題である。しかし,10年を超す長期的な将来予測は不確実性が高く,現世代の立場による新規事業の検討や意思決定は,短期的,短絡的な判断を招きやすく,将来世代の視点や期待を反映することは難しい。本研究では,企業内において2040年の食に関わる新規事業の提案を導出するための参加型討議に,将来世代を考慮した持続可能な意思決定を導くための社会の仕組みをデザインするフューチャー・デザインの考え方を取り入れ,その効果の検証を行った。討議結果とアンケート調査の分析から,将来世代の代弁者としての役割を担う仮想将来世代の仕組みを導入した議論において,現世代視点で議論した場合と比較して長期的視点の獲得,現実性やコストに捉われないアイデアの導出,アイデアの社会貢献性向上の傾向が確認された。また,仮想将来世代での討議は現世代のそれと比べて顧客・キーパートナーをより重視した内容となり,事業提案ではステークホルダーの範囲が拡大した。各班の両世代から提案された事業を企業内の意思決定者が評価したところ,仮想将来世代の提案は現世代のそれと比べ,未来に対して慎重な立場を取りつつ,長期的な利益や事業の成長性,業界へ与えるインパクトが高い事業と評価された。企業における新規事業創出の支援においてフューチャー・デザインの有効性が示唆された。</p>

収録刊行物

  • 研究 技術 計画

    研究 技術 計画 38 (1), 113-129, 2023-05-08

    研究・イノベーション学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390858983785912192
  • DOI
    10.20801/jsrpim.38.1_113
  • ISSN
    24327123
    09147020
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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