骨腫瘍との鑑別が困難であった小児壊血病の一例

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抄録

<p>壊血病はビタミンC欠乏により微小血管の損傷,出血をきたす疾患である.今回,大腿骨骨腫瘍を疑われ受診した1例を経験したので報告する.症例:10歳男児.左下肢痛にて前医受診し,MRIで大腿骨に輝度変化を認め,当院小児科紹介受診した.画像より骨腫瘍を疑い組織試験採取を施行したが血腫の診断であった.その後症状遷延したが,歯肉腫脹と出血,併存症として自閉スペクトラム症による著しい偏食があることから壊血病が疑われ,血中ビタミンC濃度の異常低値を確認し診断に至った.ビタミンC補充療法後は疼痛改善し,画像所見も改善を認めた.考察:現代社会では壊血病の発症はほぼ認めないが,近年,発達障害児における偏食やその他の栄養障害に伴う壊血病の報告が散見される.小児壊血病は,骨髄炎,敗血症性関節炎,骨軟部腫瘍,白血病,出血性疾患,リウマチ性疾患などとしばしば誤診されることが報告されている.本症例でも当初は悪性骨腫瘍との鑑別に難渋した.発達歴・既往歴から栄養障害が疑われる場合には鑑別疾患として挙げるべきである.</p>

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