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抄録
P(論文)
地上波テレビ番組における文字テロップは,1990 年代以降増え続けてきたが,「サイドテロップ」と並んでテロップ急増の大きな要因となったのが「コメントフォローテロップ」である。スタジオ出演者やVTR の登場人物の発言内容に合わせて表示されるこのテロップは,ニュース番組では「発言内容を正確に伝え,視聴者の理解を助ける」のが主な目的であるが,バラエティ番組では「理解を助ける」だけでなく,「視聴者に笑いのツボを提示する」役割も担っている。本稿では,スタジオ部分とVTR 部分に分けて地上波のコメントフォローテロップの現状を調査・分析したが,「スタジオ部分はVTR 部分よりテロップの量が少ない」というはっきりした傾向が読み取れたことから,「“今”という時間の共有」が番組制作者に強く意識されていることがわかった。また,“コメント切り取り型のテロップ”では「怒り=黒と赤」のような定番色が広く浸透しており,視聴者の“ながら見”を想定した上での「わかりやすさ志向」は,多くの番組制作者に共有されていることが確認できた。視聴スタイルや表現手法が大きな変化を遂げた今も,「時間の共有」と「わかりやすさ」を志向する地上波テレビ番組の本質は,変わっていないのである。
収録刊行物
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- 江戸川大学紀要
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江戸川大学紀要 33 267-280, 2023-03-15
江戸川大学
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390859073058906752
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- NII書誌ID
- AA12560733
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB