国立劇場蔵小川弥三郎旧蔵史料について : 近代人形浄瑠璃囃子方の附帳

書誌事項

タイトル別名
  • Musical Notes for the Modern Bunraku Musician : Ogawa Yasaburo's Collection Owned by the National Theatre of Japan

抄録

本稿は、国立劇場が所蔵する小川弥三郎旧蔵資料のうち、「歌舞伎下座付帳」に分類された五十五点について考察するものである。旧蔵者小川弥三郎は明治十一年大阪市に生まれ、叔父で人形浄瑠璃の囃子の名人三代目小川浅丸に育てられた。明治二十年代には入座し、人形浄瑠璃の囃子の修業をしてゆくが、明治三十年代になると上方歌舞伎に出入りし、鳴物や笛だけでなく、時には長唄まで担当していた。明治四十年代以降は再び人形浄瑠璃界に復し、昭和十年代まで勤続した。本史料五十五点は、小川弥三郎のこうした上方の囃子方らしい足跡を如実に伝える史料として重要なだけでなく、文楽協会設立前の人形浄瑠璃の囃子の姿や、明治三十年代の上方歌舞伎の音楽演出を探る上でも稀少な史料と考えられる。

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