長野県北信地方の産業集積の形成過程について

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タイトル別名
  • On the Formation Process of Industrial Agglomerations in Northern Area of Nagano Prefecture
  • ナガノケン ホクシン チホウ ノ サンギョウ シュウセキ ノ ケイセイ カテイ ニ ツイテ

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説明

本稿は長野県の北信地方の産業集積に関して,その形成過程に限定して考察したものである。時期的には戦前,戦中から1990年代はじめ頃までとし,空間的には富士通・新光電気系列の産業集積と坂城町の産業集積を中心に考察している。片倉製糸紡績株式会社田中製糸所を富士通信機製造株式会社が買収し,須坂工場を設けた背景には戦中の軍需に川崎工場だけでは対応できず,昭和恐慌,世界恐慌,さらに太平洋戦争に突入することで生糸の輸出が絶望となった須坂の製糸業の苦難を結果として利したものと同時に,同工場が「陸海軍を通じて転用工場第1号」となり,須坂が「航空兵器生産倍加運動」の場として,航空機・通信用部品供給拠点として位置づけられ,こうした経緯で須坂が製糸から電子部品の産地に変移した。また電子部品生産を手掛ける北信の企業にも半導体の普及に対応すべく半導体パッケージ,リードフレームの生産,さらにはその装置開発に勤しみ,成長していった企業が多く,本稿でもそのいくつかを取り上げた。また坂城町の産業発達とも共通することであるが,北信地方ではNC工作機械の導入・普及が早く,黎明期のNC工作機械はその制御ソフト等が未熟で,その精度不足を補う日本企業の技術力が従業員の熟練技能に大きく依存し,NC化の先発性とともに,導入されたNC工作機械の精度不足を補う熟練労働とが相俟って集積の強みが形成されたと考えられる。

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