建築家中原暢子設計「木村別邸」からみる設計思想

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タイトル別名
  • Design concept of “Kimura's Villa” designed by architect Nobuko Nakahara
  • ケンチクカ ナカハラ ノブコ セッケイ 「 キムラ ベッテイ 」 カラ ミル セッケイ シソウ

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抄録

中原暢子(1929-2008 以下、「中原」という)は、戦後の女性建築家として活躍し、和風と機能主義の融合を求めた。筆者は、中原の独立後の設計思想の展開を4期に分け、第1期とは機能主義、特に構造表現主義的傾向が強い時期として捉えた。この時期の代表作として「長覚院」、「辻別邸」及び「木村別邸」がある。これまで「木村別邸」については、これまで実地調査が行えなかったが、今回の調査で他の作品にみられない和風と機能主義を融合させる様々な野心的な試みがあったことが確認できた。「木村別邸」は、構造表現主義的なデザインを抑制し、内部のインテリアとしてのみ露出している。茶室は当初は織部床から始めたが、実現したものは様式にこだわらない自由な茶室となった。他方、食堂には、伝統的な囲炉裏自体を再現、細部の装飾には、家紋、吊下げ灯篭、木碑等の「伝統的和風要素」をそのままの形態で各所に配置し、響き合わせる和風装飾空間として存在させた。

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