森林法を林業の教科書として読む − 1833年のバーデン森林法を題材に
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- 寺下 太郎
- 愛媛大学大学院農学研究科
書誌事項
- タイトル別名
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- Forest Act as Forestry Textbook - a Commentary on Baden Forest Act in 1833
説明
<p>ドイツにおける森林に関する法律の歴史のなかに、1833年に制定され、1854年に改正されたバーデン森林法がある。南ドイツにおける森林の乱伐に対する規制文書として重要な意味があるが、その内容は当時の森林管理・林業作業マニュアルとして読み解くこともできる。本文は第1部「森林警察」(1〜99条)、第2部「森林ステークホルダー」(100〜136条)、第3部「森林違反行為」(137〜219条)という構成を取り、実施のための細則(1〜13条)がこれに続く。第1部の森林警察とは現代の警察よりも広い概念で、管理主体や行政組織という意味を含む。冒頭、第1条で貴族有・団体有を問わず森林管理官は国家官僚であるべし、第2条で森林官は森林についての専門知識についての試験を経て採用されるべし、と述べられているのは、国家の優位性を宣言するものではあるが、それは結果的に地域の利害による恣意的な林業経営から離れ、普遍的・科学的な知見に裏打ちされた森林管理を実現することにつながる。これに続く条文でも、非常に具体的に森林の扱い方が示されている。また、第3部で述べられている罰則規定も、森林の価値評価の裏返しとして読むことができる。</p>
収録刊行物
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- 日本森林学会大会発表データベース
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日本森林学会大会発表データベース 134 (0), 112-, 2023-05-30
一般社団法人日本森林学会