皆伐後の森林回復過程における融雪期の流出-釜淵森林理水試験地での解析-

DOI
  • 阿部 俊夫
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所東北支所
  • 久保田 多余子
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所森林防災研究領域
  • 野口 正二
    国際農林水産業研究センター
  • 細田 育広
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所関西支所

書誌事項

タイトル別名
  • Snowmelt runoff in forest regrowth period following clear-cutting in the Kamabuchi experimental watershed

抄録

<p>多雪地域の森林流域では、皆伐後に融雪流出が増加することは既に報告されてきたが、その後の森林回復過程における影響の変化についてはよく分かっていなかった。そこで、我々は、山形県の多雪地域にある釜淵森林理水試験地を対象に、67年間の長期水文データを用いて、融雪流出に影響する要因について解析をおこなった。その結果、融雪流出量は皆伐後に増加したが、スギ植栽から約30年で伐採前と同水準に戻っていた。また、皆伐による融雪流出量の増加には、経過年数の影響だけでなく、年降雪量が多く、春季平均気温の高い水年ほど大きくなる傾向も認められた。これは、森林の有無によって冬季の降雪遮断量や春季の蒸発散量に違いが生じたためと推察された。さらに、融雪流出の開始日は、皆伐後に早まったが、終了日は同程度かやや遅い傾向であり、融雪流出期間が短くなることはなかった。これらの結果が他地域にも当てはまるかは慎重に判断する必要があるが、皆伐により増加した融雪流出量は、おそらく森林の葉量増加にともなって、森林蓄積量の回復よりも短い期間で元に戻るものと考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390859215928713728
  • DOI
    10.11519/jfsc.134.0_518
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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