中間温帯針広混交林における樹木の吸水深度特性

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タイトル別名
  • Tree water uptake depth in intermediate-temperate mixed broadleaf-conifer forest

抄録

<p>樹木の吸水深度は、乾燥ストレス耐性や地下部における水や栄養をめぐる競争に大きく影響するが、湿潤な日本の森林において樹木の吸水深度を推定した研究は少ない。本研究では、中間温帯針広混交林における地下部での多種共存メカニズムの解明を目的として、愛知県段戸モミ・ツガ希少個体群保護林において24種70個体の樹木の吸水深度を推定した。吸水深度は、2022年8月に採取した導管水の水素および酸素安定同位体比(δ2Hおよびδ18O)と土壌水のδ2Hおよびδ18O勾配を、混合ベイズモデルによって照合することで推定した。</p><p>土壌表層(0-20 cm)、中層(20-60 cm)、深層(60-100 cm)からの全個体の平均吸水割合はそれぞれ約49%、28%、23%と推定され、土壌表層からの吸水割合が最も高かった。また吸水深度には種間差が認められ、湿潤な森林においても地下部での水資源のニッチ分化が生じている可能性が示唆された。一般に深根性とされている樹種(例えばモミ)でも、吸水深度が浅いと推定された場合があり、根の分布がそのまま吸水深度に反映されるわけではなかったため、樹木の水源を特定するためには水の安定同位体を用いた吸水深度の推定が有効であると考えられる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390859215928838016
  • DOI
    10.11519/jfsc.134.0_681
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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