土壌圧縮がカラマツ苗木の成長と根の動態に及ぼす影響
書誌事項
- タイトル別名
-
- Effect of soil compaction on growth and root dynamics of <i>Larix kaempferi</i> seedlings
抄録
<p>高性能林業機械等の重機による林内の走行や,登山等のレクリエーションに伴う踏圧,乾燥や豪雨等による表面土壌の流出は,森林内の土壌を硬化させる恐れがある。土壌の硬化は,樹木の成長に欠かせない細根の伸長や枯死といった動態に悪影響を与える可能性がある。本研究ではニホンカラマツの一年生苗を土壌圧縮条件下で育成し,地上部と地下部の成長量および細根の形質や動態を非圧縮条件下の苗木と比較した。実験は北海道大学苫小牧研究林で行った。2018年6月,底面に穴をあけた30 cmガラス水槽に土壌密度0.80 g/cm³(対照区)と1.20 g /cm³(圧縮区)になるように森林土壌を充填し,苗木を植栽した。2019年4月から8カ月間,水槽の外側2面をフラットベットスキャナーで毎月スキャンし,土壌断面画像を取得した。画像上の根を抽出し,その成長,枯死分解,ターンオーバー速度を算出した。実験終了後の幹直径,地上部・地下部重量は,対照区に比べて圧縮区で有意に低く,細根の現存量,成長,枯死分解,ターンオーバー速度は対照区に比べて圧縮区で低下傾向にあった。土壌圧縮により細根生産が抑えられ,樹木の成長抑制につながったことが示唆された。</p>
収録刊行物
-
- 日本森林学会大会発表データベース
-
日本森林学会大会発表データベース 134 (0), 691-, 2023-05-30
日本森林学会