明治末に行われた沖縄の森林所有の近代化に関する理解の改訂

DOI
  • 齋藤 和彦
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所関西支所

書誌事項

タイトル別名
  • Revised understanding of the modernization of forest ownership in Okinawa at the end of the Meiji Era

抄録

<p>通常、我々は沖縄の近代林政史を『沖縄県史』『沖縄の林業史』『沖縄県農林水産行政史』等の戦後の刊行物や篠原、仲間らの研究から学ぶ。しかし、戦争で戦前の資料を失った影響は大きく、今ではわからないことも多い。近年、沖縄の森林の事実上の官民有区分事業となった「杣山整理」(明治39-41年)の資料が見つかり幾つかの謎が解明された。本発表はその結果から以下の通説の改訂を提案する。まず、沖縄の森林所有の近代化過程は「杣山の国有化>その再配分」の2段階とされてきたが、正確には「杣山の土地の国有化>毛上の官地民木整理」であり、入会林だった杣山を「土地>毛上」の順に整理していた。ここで地元は天然林込みの産物譲与と林業を営む土地払下を受け、条件付で統一した。国有林は産物譲与と引き替えに入会のない林地と譲与対象外の未利用林=奥地優良天然林を得た。払下代金の地元負担は過重ではなく、払下代金は森林資金でなく経常部に収納された。従来、沖縄の森林所有の近代化は本土の後追い的に理解されてきたが、毛上の所有者を森林所有者と看做した明治40年森林法の考え方や本土では大正8年通牒の条件付統一を先取りした最新鋭の近代化だった。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390859215928867968
  • DOI
    10.11519/jfsc.134.0_82
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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