高度な僧帽弁輪石灰化病変に対する僧帽弁手術

書誌事項

タイトル別名
  • Mitral Surgery for Severe Mitral Annular Calcification: Calcium Resection or Exclusion Procedure
  • -僧帽弁輪石灰化切除か温存か-

抄録

<p>[背景]僧帽弁輪の広範囲な高度な石灰化(MAC)病変の存在は僧帽弁手術において手術手技を困難にさせる大きな因子となり予後を左右する.石灰化が広範囲に僧帽弁輪に存在することにより直接には僧帽弁輪に縫合糸が刺入できず,僧帽弁置換術(MVR)後に人工弁輪周囲リークや左室破裂,術後の心不全を生じる可能性がある.今回MAC存在下での僧帽弁手術について手術法の違いによる結果を比較検討した.[対象と方法]2005年以降に施行した1,327例の僧帽弁手術のうち高度の僧帽弁輪石灰化をみとめMVRを施行した25例(1.9%)を対象とした.平均年齢は75±9歳で,男性6,女性19で,血液透析は4例であった.合併手術は大動脈弁置換術19例,冠動脈バイパス術4例であった.MACを切除したものは14例(R群)でMACを切除しなかったもの11例(E群)であった.[結果]院内死亡率はR群4例で死因は術後の心不全2例,脳梗塞1例,呼吸不全1例によるものであった.大動脈遮断時間は,R群で平均180±44分(108~266分),E群で139±32分(61~186分)で有意差を認めた(p=0.009).人工弁サイズはR群14例で24.3±1.0 mm,E群12例で24.6±0.8 mmであった(p=0.618).術後の心エコー検査では,両群とも,僧帽弁の平均圧格差で人工弁の狭窄パターンを示すものはなく,弁周囲リークも認めなかった.[結論]高度に石灰化した僧帽弁輪における石灰化温存のMVRは石灰化除去による術式に比べ,高齢患者に対して安全で効果的なアプローチと考えられた.</p>

収録刊行物

参考文献 (17)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ