トランスジェンダーの性の健康と権利――人権基盤型アプローチによる議論に向けて――

  • 東 優子
    大阪公立大学大学院現代システム科学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Transgender Sexual Health and Rights: Moving the Discussion towards a Human Rights-Based Approach

抄録

<p>トランス当事者の医療ニーズをきっかけにして,1990年代半ば以降にさまざまな支援システムが「医学モデル」で構築されてきた日本は,世界でも稀にみる「性同一性障害大国」である.しかし,WHOの「国際疾病分類」(ICD)が約30年ぶりに大改訂され,最新版であるICD-11においてはトランスであるということが正式に非病理化され,トランス当事者の医療ニーズは「性の健康に関連する状態」という枠組みで対応していくことになった.このことは,日本で唯一のLGBT法ともいえる「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」のありようにも影響を与える.同法律については「手術要件」の撤廃などをめぐり,国連の改善勧告を受けているところでもある.非病理化と人権モデルの導入は世界的潮流である.トランスジェンダーやジェンダーの多様な人々の人権保障に向けて,国内での議論および対応・対策にも「人権基盤型アプローチ」の起動が求められる.</p>

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参考文献 (8)*注記

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