多職種による院内暴力・暴言対応シミュレーション研修会を実施して

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抄録

【はじめに】院内暴力とは、医療機関において患者や家族等が職員に対して行う身体的暴力や嫌がらせ行為(精神的・性的暴力など)と定義されており、全日本病院協会の院内暴力等の実態調査では過去1年間における職員に対する院内暴力・暴言等の件数は、6,882件と報告されている。当院においても、令和3年度は患者から職員への暴力行為や診療中の医師等への暴言が1件ずつ報告されていた。また当院職員に対しての院内暴力等のアンケート結果では、約18%の職員が過去に患者・家族等から身体的・精神的暴力を受けたり、遭遇した経験があるとの回答であった。このことから院内の組織的な取り組みとして、院内暴力・暴言対応シミュレーション研修会を実施し、職員の対応力向上に努めることができたので経過について報告する。【方法】 多職種で構成された医療安全推進部会メンバー、事務職員が中心となり対面式の研修会を企画した。当院の院内暴力対策マニュアル、取り組みについて医療安全管理室より資料にて説明後、院内暴力・暴言発生場面のシナリオに沿って、医療安全推進部会メンバーが実演を行い、対応方法について解説を行った。研修後はアンケートにより理解度の確認を行った。【結果】COVID-19感染対策として各部署からの参加人数を制限して行い、研修参加者は計42名であった。研修後アンケートより、参加者からは「患者からの暴行・暴言発生時の対応」、「凶器を所持する不審者への対応」、「脅迫電話等への対応」のすべての項目において「よく理解できた」「理解できた」との回答が得られた。【考察】今後、院内暴力・暴言等に対して、職員自らが現場で適切な対応がとれるよう普段から発生時の対応や危険回避する方法等についてイメージトレーニングしておく必要がある。また、院内暴力・暴言発生時の場面を想定したシミュレーション研修会は、今後も定期的に開催し、職員の対応力向上に努めていく必要がある。

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