脊髄障害による便失禁に対して経肛門的洗腸療法が有効であった1例

DOI
  • 藤城 尚美
    藤田医科大学病院 看護部
  • 前田 耕太郎
    藤田医科大学病院 国際医療センター 医療法人社団健育会 湘南慶育病院 外科

書誌事項

タイトル別名
  • Effectiveness of transanal irrigation for fecal incontinence in a patient with spinal cord impairment:A case report

この論文をさがす

抄録

<p>【背景】便失禁は生活の質(quality of life、以下QOL)を低下させる原因となる。今回、経肛門的洗腸療法(transanal irrigation、以下TAI)を導入したことで、便失禁なく生活ができるようになり、QOLが向上した症例を経験したため報告する。</p><p>【症例】50歳代の男性。腰椎すべり症の手術後、馬尾神経症候群のため便失禁を含めた排尿・排便障害を発症した。内服治療では便失禁が十分に改善しないため、TAIを導入した。TAI前後で、排便に関する満足度を評価するVisual Analogue Scale(0:最悪-10:最善)は2.3から10と著明に改善し、便失禁への不安感のためにトイレへ行く回数も便失禁に対して不安を感じる時間も減少した。TAI開始前の表情は暗かったが、TAI開始後は、便失禁なく生活できるようになって表情も明るくなり、「洗腸を行う日は早く家に帰って洗腸がしたいと思う」や「排尿も調子が良い」と、TAIに対する前向きな発言が聞かれるようになった。</p><p>【結語】脊髄障害による便失禁患者に対するTAIの導入が、便失禁の改善とQOL向上の一助となった。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ