当院急性期脳卒中後におけるDVT発生要因とリハビリテーションとの関係

DOI

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>急性期脳卒中では、深部静脈血栓症(以下:DVT)を併発する例が存在する。DVTは致死率の高い肺血栓塞栓症(以下VTE)へ移行する危険性がありDVTを予防することが重要である。DVT予防については、間欠的空気圧迫法(以下:IPC)を中心とした予防が進められている。リハビリテーション(以下:リハ)介入によるDVT予防は、早期離床・歩行など推奨されているがリハ関連性において、詳細な報告は少ない。今回我々は、急性期脳卒中後における、DVT発症要因及び急性期リハの関係を調査した。</p><p>【方法】</p><p>2019年1月~2020年12月に当院で脳卒中の診断を受け入院した701症例(脳梗塞489例、脳出血147例、くも膜下出血65例)を対象とし入院中、医師の判断のもと下肢静脈エコー検査を行った43症例(脳梗塞13例、脳出血10例、くも膜下出血7例)を抽出した。また43症例を、DVT診断に基づき陽性患者をDVT群(22例)、陰性患者を非DVT群(21例)に分類し、発症までの日数、Ddimer値(下肢静脈エコー直近日)、年齢、体重、BMI(body mass index)、Brunnstrom stage、VTEスコア表、平均単位数(下肢エコー実施日を含む過去7 日間の平均単位数とし7日満たないものは介入期間までの平均)とした。ただし、平均単位数は今回離床・歩行の活動性を調査する為、PT・OT単位のみの数としST単位は除外した。統計解析は間隔尺度の項目は対応のないt検定、順序尺度はMann-Whitney検定を用い、リハ内容および病棟ADLについてはχ2検定を行った。なお、全ての統計解析はStat Flex Ver.6を用い、有意水準は5%とした。</p><p>【結果】</p><p>DVT群と非DVT群を比較した結果、発症までの日数(p=0.11)、Ddimer値(p=0.12)、年齢(p=0.76)、体重(p=0.87)、BMI(p=0.74)、Brunnstrom stage(p=0.15)、VTEスコア表(p=0.27)、リハ平均単位(p=0.31)、リハ内容(p=0.28)、病棟ADL(p=0.40)と全項目において統計学的有意差は認めなかった。</p><p>【結論】</p><p>本研究では、DVT群・非DVT群の両群間における比較検討を行った。結果、両群間において全ての項目で有意差を認めなかった。歩行や離床に難渋する例において有意にDVTが発症するものと予測されたが、活動性が低い例がDVTを発症していた一方で、歩行レベルにおいてもDVTを認める結果となり活動量における両群間の有意差は認められなかった。これらの結果よりリハ内容、病棟ADLレベルに関連なく、全例においてDVTになりうる可能性が示唆された。急性期脳卒中後のリハはどのADLレベルでも常にVTEのリスク因子やDVT症状・兆候を把握したなかで進める事が重要であるといえる。</p><p>【倫理的配慮、説明と同意】</p><p>今研究を行うにあたり、個人を特定するような情報を開示しないようナンバリングを行うことで、対象者を匿名化し、プライバシーの保護に努めた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ