通いの場参加の身体的プレフレイル高齢者における関連要因の検討 -身体・心理・社会面に着目した横断研究-

  • 森 優太
    医療法人松徳会 花の丘病院 千葉大学大学院医学薬学府
  • 竹田 徳則
    名古屋女子大学総合科学研究所

説明

<p>【はじめに、目的】</p><p>厚生労働省はフレイル予防には,プレフレイルの早期発見や個別機能トレーニングによる直接的アプローチだけではなく,社会参加活動の一つであるサロンのような通いの場(以下,通いの場)への参加を推奨している.しかし,通いの場参加高齢者のプレフレイル割合やその特徴は明らかではない.本研究の目的は,通いの場参加高齢者の身体的プレフレイル割合と身体・心理・社会面の関連要因に着目して検討する.</p><p>【方法】</p><p>本研究は横断研究で,対象は三重県松阪市内の住民が運営主体の月1回以上90分~120分開催の通いの場13箇所へ参加する地域在住高齢者である.そのうち分析対象は,1)65歳未満,2)身体的フレイル該当を除いた188名とした.日本版Cardiovascular Health Study 基準の尺度に準じて,身体的プレフレイル該当・非該当の2群とし,分析の目的変数とした.説明変数はカテゴリ変数として,年齢・性別・要治療疾患の有無・通いの場参加後の新たな運動実施や社会参加等の心理社会的な変化・老研式総合計・GDS-5・転倒不安感・基本チェックリスト認知項目とした.連続変数には片脚立位時間・CS-30・LSNS-6を用いた.統計処理は,各群の対象特性の比較にはMann Whitney U検定およびχ2検定を行い有意水準は5%とした.その後,これらの説明変数を投入したロジスティック回帰分析(有意水準5%,強制投入法)を実施した.</p><p>【結果】</p><p>身体的プレフレイル該当102名(54.3%),非該当86名(45.7%)だった.2群間の比較では,年齢,研式総合計,GDS-5,基本チェックリスト認知項目,片脚立位時間,CS-30,LSNS-6で有意差を認めた.一方,通いの場参加後の心理社会的な変化に関しては,2群共に新たな運動実施などで良好な変化を示し有意差はなかった.ロジスティック回帰分析の結果,身体的プレフレイルとの関連で有意差(オッズ比: 95%信頼区間)を認めた項目は,転倒不安感(2.37: 1.12-4.98),基本チェックリスト認知項目(2.41: 1.17-4.95),CS-30(0.91:0.85-0.97)であった.</p><p>【結論】</p><p>社会参加活動の資源である通いの場参加者のうち半数が身体的プレフレイル該当であった.身体的プレフレイル高齢者把握では,下肢筋力に加えて,転倒恐怖感や認知機能に関する評価の実施と通いの場を活用したフレイル予防のためのプログラム検討が必要と考えられた.</p><p>【倫理的配慮、説明と同意】</p><p>本研究は星城大学研究倫理委員会(2017C0004)の承諾を受け,研究の実施に当たっては,対象者に対して研究内容について説明文を用いて口頭説明後に書面で同意を得た.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ