コロナ禍におけるスマートフォンアプリの専門職監修プログラム介入による労働者の体重管理効果

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>近年、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業は「働き方」の変化を余儀なくされ、リモートワークによる通勤機会の減少や活動自粛から、健康被害やコロナ太り等のリスクが懸念されてきた。このような中で、スマートフォンアプリのようなICTを利用した健康施策は、集団・密を避け、企業の労働者に遠隔から介入を促すことができるツールとして、よりその注目度が増している。ICT 機器の活用は、企業の産業保健担当者や、産業保健現場での支援を目指す理学療法士にとっても、1対1ではなく多くの人々に効率的に働きかけられるツールであり、かつ蓄積されたデータを用いることで客観的な効果検証が行えるという、大きな利点がある。株式会社FiNC Technologiesでは、産業保健と健康経営を支援するクラウド型ソフト「FiNC for BUSINESS」を提供しており、そのトライアルパッケージは、アプリと連携し体重が簡易に測定できる体組成計配布と、理学療法士・管理栄養士等が作成した専用アプリを用いた健康増進プログラムの利用が組み込まれた60日間のサービスである。本研究では、このような専門職が作成したプログラムを用いた健康介入が、コロナ禍における体重管理に与える効果を検討することを目的とした。</p><p>【方法】</p><p>対象者は、2020年4月~2022年3月の期間に上記トライアルパッケージに参加した企業の匿名化データにおいて、トライアル期間開始前と終了後の10日間中にいずれも1回以上の体重記録があり、年齢・性別の入力があった、男性121名とした。開始前体重と終了後体重をメインアウトカムとし、統計解析は標本の正規分布を確認し、対応のあるt検定にて有意確率5%未満とした。</p><p>【結果】</p><p>対象者は平均年齢46.0±11.2歳であり、トライアル開始前平均体重は74.3±9.7kgであった。60日間のトライアル終了後は、開始前と比べ‐0.5±1.6kgの有意な体重の変化が確認された。(p=0.01)体重変化の値から、「0.5kg以上:増加」、「‐0.5~0.5kgの範囲内:維持」、「‐0.5kg以下:減少」として分類すると、増加:21.5%、維持:33.9%、減少:44.6%であった。</p><p>【結論】</p><p>理学療法士等の専門職が作成に加わったスマートフォンアプリの健康プログラム介入による、コロナ禍での労働者の体重管理効果について検討し、有意な結果を確認した。対象者は活動控えが懸念されていたコロナ禍においても、トライアルパッケージへの参加により、約8割近くが体重の維持・減少につながった。対面・集団での労働者健康管理が制限されるコロナ禍において、専門職の知識を手軽に届けながら、企業の担当者がロジカルに健康施策を実施できる手段の一つとして、有用であることが示唆された。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は、個人・企業が特定されない匿名化情報としての学術的データ利用に関する同意を得た企業のデータを用い、ヘルシンキ宣言に基づき、取り扱いに十分配慮して分析を行いました。開示するCOIはありません。</p>

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