法人における「抱え上げない持ち上げない」ケアの取り組み

DOI
  • 座波 信司
    医療法人おもと会統括本部 統括リハビリテーション部リハビリテーション科 PT
  • 金城 知子
    社会福祉法人おもと会本部 結ま~るケアプロジェクト OT
  • 石井 民子
    医療法人おもと会 こころと体のヘルスケアセンター Dr

抄録

<p>【はじめに・目的】</p><p>2018年度より、法人本部にて、腰痛予防・労働環境改善に向けたプロジェクトを立ち上げた。この4年間で取り組んだプロジェクトについて考察を含め報告いたします。</p><p>【方法・経過】</p><p>人員配置:医師(兼務)・OT1名(専従)・事務調整担当PT1名(兼務)2018年プロジェクト開始。職員13名を県外講習会へ派遣。</p><p>2019年ベッド入れ替え、福祉機器の導入。全職員対象研修会を実施。専用施設を開設。地域講習会の開催。</p><p>2020・2021年コロナにより活動が制限。WEBでの研修開催。研修会動画の作成配信。</p><p>2018~2021年度においてロジェクトの活動状況についてアンケートを実施。</p><p>【結果・考察】</p><p>4年間で、機器はリフト18台、ボード34台、シート、グローブなどを導入。OJT・勉強会・会議開催総回数715回、講習会実施回数40回(法人内外)、発表3回(県外)、人材育成;県外講師講習会受講者72名(内講習会認定者6名)、動画作成配信(法人内向け)2021年度1 ケ月の視聴回数269回。</p><p>アンケート実施結果(2018⇒2021):腰痛発生35%⇒33%、腰痛対策指針の理解9%⇒40%、自ら受けたいケア方法か(移乗)40%⇒48%、剥離の経験(有り)47%⇒40%、機器用具の介助5%⇒18% 介護分野ではICTや福祉機器用具の活用を推奨されている。導入に際しては、扱う職員の意識を大きく変えていかないと定着していくことは難しい。そのためには、教育体制と予算の確保が大きな課題である。今回は、法人本部が取り組みを行ったことで導入が進んだ。そこには医師の協力が大きな影響を与えたと共に、専従職員が施設横断的に活動できたことは継続し教育していく大きな要因となった。それでも、これまでのケア方法を変えることに抵抗感が あり難渋している施設事業所もあった。一方では委員会の開催、現場へのOJT介入、定期勉強会の検討など行っている施設事業所は、徐々に意識とケアに変化が見られた。それらのことから、継続的 な介入と教育は福祉機器の導入に際し、必要不可欠なものだと考える。</p><p>【結論】</p><p>1福祉機器の導入には予算と教育が重要、2ケアの質として利用者・介護者共に理解してもらうにはチームとしての取り組みが重要、3 短期的なケアの変化はみられるが結果が出るためには教育を継続していくことが必要。</p><p>腰痛改善や労働環境の改善を目的に始まったプロジェクトだが、進めていく中で教育と反復継続の重要性を再認識した。この機会を有効的に活用し、「抱え上げない・持ち上げない」ケアを実践している法人を目指す活動を継続していく。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>説明と同意については、管理者へ文書にてアンケート依頼を行い、アンケート回答によって同意を得たこととした。アンケートは、職員へ無記名にてインターネットを用いて回答いただいた。集計したデータについては個人情報に関する項目を除外し分析を行い、個人が特定されることのないよう倫理的配慮を行った。</p>

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