焼酎の貯蔵容器における溶媒和の生成

書誌事項

タイトル別名
  • Formation of solvate in shochu in a storage vessel.
  • (Part 2) Estimates of the enthalpy of dissolution of a small quantity of metal salts in aqueous ethanol solutions.
  • (第2報)微量の金属塩類のエタノール水溶液における溶解熱の推定

抄録

前報及び本報を要約すると以下のとおりであった。<br>1.水,EtOHまたはEtOH水溶液に金属塩類を溶解した場合の温度変化を測定し,溶解熱を推定した。<br>2.水,EtOHまたはEtOH水溶液に,CaCl2またはMgCl2を溶解すると,それぞれ動粘度は増加し,塩の溶解により溶液の温度は上昇した。これは塩の溶解により塩の水和物またはEtOHとの溶媒和が生成したためであり,カメに長年貯蔵された泡盛に微量含まれているCa2+及びMg2+はEtOHと溶媒和を形成していると推察された。CaCl2またはMgCl2を溶媒に溶解した場合の動粘度または溶解熱の差はCa2+とMg2+イオンの影響の差と推察された。<br>3.43%v/v EtOH水溶液にNaClまたはKClを溶解した場合,塩の濃度に比例して動粘度は減少し,推定吸熱量は増加した。NaClを10.00~70.00%v/vEtOHに溶解した場合の推定吸熱量は,水に溶解した場合より大きく,EtOH濃度が10.00%v/vの場合もNaCl濃度に比例して推定吸熱量は増加した。KClも同様の傾向が認められた。また,EtOH 100.00gに0.005molのNaClまたはKClを添加した場合はほとんど溶解せず温度変化は認められなかった。<br>4.これらのことから,EtOH水溶液中ではEtOH,H2O及びEtOHの水和物は化学平衡状態にあり,NaClまたはKClを溶解するとNaまたはKの第二溶媒和核にEtOHが取り込まれて,EtOHとH2Oの水素結合が部分的に切断され,動粘度は減少し,吸熱反応が起きたものと推察された。

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