金子光晴『人間の悲劇』における世界観と積極的ニヒリズム

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  • カネコ ミツハル ニンゲン ノ ヒゲキ ニ オケル セカイカン ト セッキョクテキ ニヒリズム

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『人間の悲劇』には、人間の歴史とは永遠の反復であるとする歴史観が存在している。そのような歴史の円環的構造から抜け出すことが出来ぬ虚無感と戦後の荒廃した国土を前にした嘆きという、二重の精神的動揺の中でこの詩集は成立した。しかし、最終章で書かれたことは、人間の連帯への志向と、一回限りの生を主体的に生きようとする意思表明であった。金子の虚無的な世界観の要には、生への愛おしみに根ざした租極的ニヒリズムが存在するのである。

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